![]() |
さいたまゴールドシアターに、すっかりはまっている。
老人が老人を“演じる”という、かつてなかったコンセプトのこの劇団の舞台は、私にとって今年一番の衝撃だった。 前回の「95kgと97kgのあいだ」を観る前までは、やはり「そんなお年寄り、しかもこれまでただの素人だったようなおじいさん、おばあさんが、連日公演なんて大丈夫なの?」という、多くの人と同じような心配を抱いていた。 というか、高齢者劇団と聞いて、所謂そのへんの公民館か何かで地域の人を集めてやっているシルバー劇団のようなものを想像してしまって、それまでは、あまり観に行く気分にもなれなかったのだ。 けれど前回、劇中では杖をついてヨタヨタと歩いていた腰の曲がったおじいさんが、カーテンコールでは杖も持たず、小走りで舞台に登場したときに、私はこの劇団の奇妙なリアリティのからくりが解けたような気がした。 彼らは、“老人の役”を演じているのだ! 今にも耄碌(もうろく)しそうな老人の役を、老人が演じる。 それは、まるで“無邪気で誰にでも可愛がられる子供”の役を、本物の子供がうまく演じてみせるような気味の悪さだ。 こんな芝居を見せる劇団は、どこにもない。 ついこの間まで素人だった80歳老人の頭を血まみれにして、大声で叫ばせるような芝居をさせる蜷川氏を、心から尊敬します。 役者が舞台でよろよろしていても、もう心配したりなんかしません。 日本で一番過激な高齢者劇団、それがゴールドシアターだ。 さて、それはともかく、先日観た彼らの公演「アンドゥ家の一夜」について書こうと思う。 書こうとして今、自分でびっくりしたのは、タイトルをずっと「アンドゥ家の人々」だと思い込んでいたこと! 今、チラシを改めて確認していて気がついた。そうか、「一夜」だから、劇中にいちいち午前○時○分などと、時間経過が表示されていたんだね…。今ごろ納得。 正直、前回の清水邦夫作品(戯曲)の大ファンだということもあって、前回ほどは心を動かされなかったのだけれど、それでもケラの書いた今回の「アンドゥ家〜」は、さすがこの劇団のために書き下ろされただけあって、ゴールドシアターの面々にぴったり。 高校の演劇部の教師のもとに集まった元演劇部員たち、という設定も、ゴールドシアターの役者たちの実生活と重なる部分が多く、うまい。 死にかけなのに元教え子に迫ろうとする先生、とか、笑える部分も満載。 だけど、最後は爆笑しながら泣いてしまうという、不思議な作品でした。 それから、客席最前列で、役者の立ち位置に合わせて移動しながら見守る蜷川さんの姿が印象的でした。 ゴールドシアター公演のときは、いつもそうなのかな? 実は、開演前の舞台には幕など何もないので、役者が最終的な打ち合わせや稽古をしているのが観客から丸見えなのだけど、そこでも蜷川さんは団員たちひとりひとりにアドバイスしたり、舞台の端に座って、彼ら全体を見渡したりと、きびしくも温かい視線で団員に向き合っていました。 何か蜷川さんの、ゴールドシアターに対する愛情を垣間見たような場面でした。
![]() |
西巣鴨でやっている蜷川幸雄演出の『95㎏と97㎏のあいだ』を観に行った。
55歳以上の、職業も経歴も多様な男女をオーディションで集めた劇団、さいたまゴールドシアターの公演である。 劇団のメンバーは全員、プロの俳優ではなく、もともとは一般人。 結成から3年、これまで蜷川の作品を数回上演してきたが、残念ながら私はこれまで直接その舞台を観ることができなかった。 今回は、やはり蜷川が主宰する若手の演劇集団との共演とのこと。 西巣鴨にひっそりと建つ、廃校になった中学校体育館を使っての公演となった。 まず、驚かされたのが、ゴールドシアターメンバーの圧倒的な存在感だ。 唸り声を上げながら登場した「群衆」の、さまざまな顔、顔、顔。 街のどこにでもいそうな老人たちの、表情や立ち姿、そしてぎこちない動き。 生きてきた年月を感じさせる彼らの深い皺は、もはやそれだけで何かを物語っている。 転がり、足を引きずるその姿は、どこにでもいるような人物だからこそ、グロテスクで奇妙に映る。 彼らが舞台に登場した瞬間、私は、蜷川がなぜこの集団を結成したのか、わかったような気がした。 特に、この作品は脚本家・清水邦夫が1969年に書いた『真情あふるる軽薄さ』の続編とも、パロディともいえるものだ。 演技経験も少なく、当然発声などもプロのように上手くはない団員たちではあるが、クライマックスに、数十年前の若かりしころの思い出を、合奏するように語り始める場面でのリアリティは、あまりに重い。 「あの日、新宿では若者と警官隊が衝突しており……」 「あの日、玄関の外がピカッと光り……」 「私は朝鮮人です。あの日、裏山で日本人に……」 劇が進むにつれ、観客は、団員の演技のどこまでが芝居で、どこまでが事実なのか、混乱してくる。 蜷川のいう「生活者としての」彼らの人生経験が、小手先の技術を越えて迫ってくる。 それにしても、清水邦夫の戯曲はうつくしい。 痛々しく、若々しく、失ったものをいつも悼んでいるような言葉が連なっている。 その先を言わないでくれ!泣くから。と思うけれど、役者が次の台詞をおかまいなしに発するから、私はいつでも号泣してしまう。 詩なのか文学なのか、と思うようなその言葉のうつくしさが、本作では老人たちの生々しさをうまく中和している。 グロテスクなのに涙が出るほど美しいというのは、毎度のことながら蜷川演劇の真骨頂だ、と思う。 さいたまゴールドシアターの次回作は、ケラリーノ・サンドロヴィッチが脚本を書くそう。 ケラといえば、私などはバンドブームのころ活躍した「有頂天」のケラじゃん、というイメージが強いのだが…今は売れっ子演出家なのね。 さて、どうなることやら。 ![]() |
最近見つけた本。
フリーペーパー作りをしている私にとって、なにかと参考になりそうな一冊。 スタイリッシュなものから、手作り感あふれるものまで日本中のフリペが大集合。写真もカラフルで、眺めているだけで楽しいです。 あと、個人的には、作り手側へのアンケートが興味深かった。 それから本に関する本を、もうひとつ。
なぜかここのところ、「製本」が熱い、と思う。 つい先日も、ルリユール教室に見学に行ってきたばかりだし。気がつけば方々で、手作り本の展示会などがおこなわれている、という記事を見かけるようになった。 製本が熱い、のは、私の中だけではないらしい。 だって、タイムリーに、NHKのゴールデンタイムでこんな講座が。 おまけに、放送に出演中の先生は美人。 思わずテキストまで購入してしまった。 ちなみにこの製本入門の次にやっている番組は、島田雅彦のオペラ入門ですよ 続けて見るべし。![]() |
![]() バレエシューズのメーカー、repetto(レペット)が創立60周年を記念した展覧会をやっているらしい。と、いう噂を聞きつけ、渋谷のユナイテッドアローズまで行って来た。 お店のショーウインドウには、著名人がカスタマイズしたというシューズの数々が展示されていた。 展覧会、というほどの規模ではなかったけれど、振付家ベジャールの顔がプリントされたチュチュなど衣装の展示もあり、なかなか可愛らしい感じ。 ただ、それらはお店の入口に展示してあるので、じーっと見ていると店員さんが寄って来てしまうのが玉に傷。 だって展示物を目当てに来ているのなんて私くらいのもので、ほかはユナイテッドアローズの洋服や雑貨を買いに来ている普通のお客さんばかりなんだもの。 ちょっとコンセプトがよくわからなかったんだけど、カスタマイズ、というのは、有名なバレエダンサーや俳優さんたちが、レペットのシューズを特別にデザインした、ということでいいんだろうか? 並んでいたポワントの中には、新品ではなく少し履き古したようなものもあったから、実際にダンサーがそれを履いて踊ったということなのかな? この展示物がこれから世界中を回るらしいのだけれど、公式サイトを読んでも、そのへんがイマイチ不明です。 上の写真は、衣装の展示スペースと、パリ・オペラ座のバレリーナ、オーレリー・デュポンとマリ=アニエス・ジロのシューズ。 このほかにマチュー・ガニオのカラフルなダンスシューズ?もありましたが、こちらは全くバレエシューズの面影はなく、先の尖ったモダンな靴でしたよ。 ![]() |
ローザンヌのベジャールバレエ団が来日しています。
私は今回、2日間観に行く予定。 ベジャール亡き今、次はいつ日本に来てくれるかわからないから、しっかりと目に焼きつけておかなきゃ。 追々、感想など書きたいと思います。 ![]() |
今年も文学フリマに行けず・・お隣の駅(上野)でやった東京バレエ団の公演に行ってしまった。
文学フリマに出品していた知人のみなさん、ゴメンナサイ。 さて、今日のバレエはベジャール追悼のガラ公演。会場は追悼一色かと思いきや、ロビーにベジャールの写真が飾られている程度で、普段の公演とあまり変わらない雰囲気だった。 演目は、ギリシャの踊り、火の鳥、春の祭典、の三作品。 特に目立ったのが、ギリシャ〜での中島周くんの活躍。 東京バレエ団の中堅男性陣が何人か退団したせいもあり、ベテランダンサーを除くと、周くんの踊りがダントツで鮮やかだ。 「旬のダンサー」とは、こういう人のことを言うのだろう。難しいステップを次々と繰り出し、拍手喝采を浴びていた。 また、ギリシャ〜の開放的なムードも彼のさわやかさに合っているのだと思う。 首藤さんがいなくなってから、東京バレエ団を見る楽しみが少し減ってしまっていたけれど、周くんのような良いダンサーがこれからも出てくるといいなぁ。 ![]() |
| Evil-Flowers Library |
| 邪な花ってどんな花? |
|
about me
|
|
Author:ひろみ
|
|
|
|
記事リスト
|
|
©Plug-in by ASIA SEASON
|
|
|
|
カテゴリー
|
|
|
|
|
|
recommend
|
|
|
|
|
|
link
|
|
|
|
|
|
RSS
|
|
|
|
|
|
counter
|
|
|
|
|